PCCSオンラインセミナー「第2回:地域と教育現場に広がるeスポーツ、その現在と可能性」より①

2025.09.12

PCCSオンラインセミナー「第2回:地域と教育現場に広がるeスポーツ、その現在と可能性」より①

6/18(水)、第2回PCCSオンラインセミナーを開催いたしました。
今回は、一部抜粋し「eスポーツが地方創生に与える影響」について載せていきます。

 

地方におけるeスポーツの取り組みは、過去から現在にかけてどのように展開されてきたのか。
人口減少や若年層の流出といった地域課題に対し、eスポーツはどのような可能性を秘めているのか。
地域政策やイベントでの活用事例をもとに、eスポーツが地域に活力をもたらす新たな手段となり得るかを探ります。

 

■これまでのeスポーツと地方との関わりについて
地方創生とeスポーツに関する第一人者である筧さんは、「eスポーツ地方創生~日本における発展のかたち~」といった著書もあり、富山県などの各地で地域に根ざしたeスポーツの取り組みをプロデュースされています。
これまでのご経験の中で、象徴的であったのは、「地方でeスポーツを使った商店街の活性化」だそうです。
例えば岡山駅前商店街は駅の隣に大きなショッピングモールが出来たことを受け、シャッター商店街になりはじめたことを食い止めようとeスポーツに活路を見出そうとして、その流れは商店街での定期的なイベント開催からゲームコミュニティの方々が集まれるeスポーツスペースへと進んできています。
勝浦市は人口減少率が千葉県で上から2番目というなかなか厳しい状況を迎えていますが、市が中心となってeスポーツを取り入れた定期的なイベント開催でその状況を打破しようとしており、徐々に若者の参加が増えるなど成果を見せ始めています。今後は地元でのeスポーツチーム組成や大会参加などを目指していくようです。

 

 

PCCSがお手伝いさせていただいた施設を紹介させていただくと、
三重県の榊原温泉にある神湯館さんでは、伝統ある旅館を改装し、eスポーツを取り入れた取り組みをされています。
この改装は、令和2年度の第3次補正「事業再構築補助金」を活用し、コロナ禍を契機に新しいスタイルへ挑戦されたものです。「親子三世代が楽しめる旅館にしよう」というコンセプトのもと、伝統文化と次世代のeスポーツを融合させ、若年層の利用も増え、観光とデジタルコンテンツの両軸で客層が広がってきています。
能登地方の石川県羽咋市では、震災復興の取り組みの一環として「LAKUNAはくい」という複合施設が作られました。こちらは市が運営する市民会館ですが、中には図書カフェや学習スペース、お子さんが遊ぶキッズパーク等があり、憩いの場として多くの方が集まっているようで、イベントも盛んに行っているようです。地方の人たちにとっても、eスポーツが日常のなかに自然に入り込んできている、そんな好例だと思います。

 

■eスポーツが地方創生に与える影響について
少子高齢化、認知症やフレイル予防にeスポーツを使う事例が増えております。
神戸のISR e-sports様は、60歳以上が入れるeスポーツ教室で、eスポーツを学んでお孫さんと一緒にプレイできるようになったりしているようです。
秋田のマタギスナイパース様は高齢者eスポーツチームで、様々な活動をされていて国際試合もあったそうです。
三重では、高齢者対策として三重県eスポーツ連合が小規模多機能老人ホームへeスポーツを取り入れて楽しんでいるそうです。
熊本県美里町では、高齢者の方々へ向けてeスポーツを使った世代間交流を始め、今では人口1万人未満の町でなんと150人以上も集まるようになったそうです。

 

 

PCCSは、持続的なeスポーツイベントや施設の運営が重要だと考えています。
eスポーツ施設を整備するにあたっては、単に高性能なPCを揃えるだけでなく、地域の特色や文化を活かすことが鍵となります。
たとえば、航空産業が盛んな地域ではフライトシミュレーターを導入したり、繊維産業の地域では機織り体験とゲームを組み合わせたコンテンツを展開するなど、地域性を取り入れることで企業も自然とスポンサーとして関心を持ちやすくなります。
また、施設が地域の交流拠点となるような工夫も重要です。
若者と高齢者が自然と集まり、会話や交流が生まれる空間づくりを目指しておりますが、
高齢者が見学に訪れ若者と会話を楽しむ姿が見られるような、地域に根ざした関係性を育てる施設が理想です。
地元のインフルエンサーやクリエイターと連携し、その地域のとなる存在を生み出していくことも効果的だと思います。若者が集まりやすい場所として、そして街の情報発信の拠点として、eスポーツ施設が新しい価値を持つと考えています。

 

富山県では、「カニノケンカ」という格闘ゲームを用いたイベントがあり、
カニ100杯争奪戦として、全国から2000人も集まったそうです。
eスポーツが地元の産業と結びついた良い事例だと思います。

 

また、企業内でもeスポーツは大きな可能性を秘めています。
部署を越えた交流の促進はもちろん、社員のご家族も一緒に楽しめるため、社内イベントや福利厚生の一環としても活用が可能です。
サッカーや野球といったリアルスポーツに比べてケガのリスクがなく、誰でも気軽に参加できるのも魅力のひとつです。
導入のハードルも低く、近年では「eスポーツ部」を社内に立ち上げる企業も増えてきており、
eスポーツを通じて社員同士の絆が深まり、チームワークや組織力の向上にもつながっています。

 

次回は教育現場へのeスポーツの広がりについて載せていきます。

 

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第3回PCCSセミナー開催決定!

9月25日(木)~28日(日)開催の「TOKYO GAME SHOW 2025」

ビジネスデイの2日間でPCCSブースにて行います!

・9月25日(木) 13:00~13:20 【シニア×eスポーツ】

ゲスト:ISR e-Sports 代表社員 梨本 浩士 氏

60歳以上を対象としたeスポーツ施設の運営者が語る、「シニア世代とeスポーツのリアル」

・9月25日(木) 15:00~15:20 【異業種×eスポーツ】

ゲスト:榊原温泉 神湯館/株式会社Myフィールド 支配人 杉戸 宏羊 氏

老舗旅館がなぜeスポーツに?――伝統と最先端が融合する、異業種からの挑戦

・9月26日(金) 13:00~13:20 【教育機関×eスポーツ】

ゲスト:近畿大学情報学部学生センター センター長 矢藤 邦治 氏

大学にeスポーツを導入した先駆者が語る、教育分野へのeスポーツの可能性といま

・9月26日(金) 15:00~15:20 【経済×eスポーツ】

ゲスト:eスポーツコミュニケーションズ株式会社 会長 筧 誠一郎 氏

元大手広告代理店出身の経営者が語る、eスポーツ業界の経済と展望

 

※上記は予定であり、変更となる場合がございます。詳細はPCCSブースにてご確認ください。